高血圧を下げる食事とは?減塩・DASH食・薬との付き合い方
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高血圧を下げる食事の基本は、1日の食塩摂取を6g未満に抑える減塩と、野菜・果物・低脂肪乳製品を中心としたDASH食などの食事パターンを組み合わせることです。減塩だけでは効果が頭打ちになりやすいため、カリウムを含む食品や脂質バランスも合わせて見直すことが重要です。降圧薬で治療中の方は自己判断で薬をやめず、食事改善と併用しながら家庭血圧を記録し、経過を医師と確認していくことをおすすめします。
高血圧はなぜ食事で下がるのか?
血圧が食事で下がる主な理由は、塩分(ナトリウム)の摂りすぎが体内の水分量を増やし血管にかかる圧力を高める一方、野菜や果物に含まれるカリウムがナトリウムの排出を助けるためです。日本高血圧学会の高血圧治療ガイドラインでは、1日の食塩摂取目標を6g未満としており、これを達成すると収縮期血圧が数mmHg程度低下することが期待できるとされています。WHO(世界保健機関)はさらに厳しい1日5g未満を推奨していますが、厚生労働省の国民健康・栄養調査によると日本人の1日平均食塩摂取量は約10g前後と、目標の1.5倍以上に達しているのが実情です。
血圧の基準は、診察室で測定した場合は140/90mmHg以上、自宅で測る家庭血圧では135/85mmHg以上が高血圧の目安とされています。全国の高血圧の推定患者数は約4,300万人ともいわれ、多くの方が自覚症状のないまま過ごしています。食事による血圧管理は、薬に頼る前の第一歩であると同時に、薬物治療中の方にとっても治療効果を高める土台になります。
血圧を下げるためにまず何を食べればいい?
血圧を下げる食事の基本は「塩分を減らす」ことと「カリウムを含む食品を増やす」ことの両輪です。具体的には、野菜・果物・海藻・きのこ・低脂肪の乳製品を積極的に取り入れ、加工食品・漬物・練り製品・インスタント食品を控えるのが第一歩になります。カリウムの1日の摂取目標量は成人男性で約3,000mg、女性で約2,600mg(日本人の食事摂取基準)とされており、バナナ・ほうれん草・じゃがいも・海藻類などに多く含まれます。ただし後述するように、腎機能が低下している方はカリウムの摂りすぎに注意が必要です。
以下は、血圧管理の観点から積極的に摂りたい食品と、控えめにしたい食品の目安です。
| 食品群 | 積極的に摂りたい食品 | 摂り方の目安 | 控えたい・注意したい食品 |
|---|---|---|---|
| 野菜・果物 | ほうれん草、小松菜、バナナ、みかん | 1日350g以上の野菜を目安に | 果物の摂りすぎ(果糖・カリウム過多に注意) |
| 主食 | 未精製の穀類(玄米・全粒粉パンなど) | 白米・白パンと適度に置き換える | 菓子パン、味付きごはん類 |
| たんぱく質源 | 魚、大豆製品、脂肪の少ない肉 | 塩蔵魚・加工肉は週に数回程度に | ハム・ソーセージ・練り製品 |
| 調味料 | だし・酢・香辛料・柑橘類 | 減塩調味料の活用も有効 | しょうゆ・味噌のかけすぎ、めんつゆ |
| 乳製品 | 低脂肪乳、無糖ヨーグルト | 1日コップ1杯程度を目安に | 加糖乳製品の摂りすぎ |
この表はあくまで一般的な目安であり、腎機能や服薬状況によって適切な内容は変わるため、持病がある方は医師や管理栄養士に個別に相談することをおすすめします。
DASH食・地中海式食事とは?減塩だけで足りない理由
DASH食とは、野菜・果物・低脂肪乳製品・未精製の穀類を中心に、飽和脂肪酸とコレステロールを控えた食事パターンのことで、アメリカで開発され高血圧予防のエビデンスが積み重ねられています。海外の臨床研究では、DASH食を実践した群で収縮期血圧が約8〜14mmHg低下したとの報告があり、減塩単独よりも高い効果が期待できるとされています。地中海式食事も同様に、オリーブオイル・魚・野菜を中心とし赤身肉や加工食品を控える食事パターンで、血圧だけでなく脂質異常症や動脈硬化の予防にも役立つと考えられています。
「減塩」だけに注目すると、塩分を減らすことはできても、野菜・果物・低脂肪乳製品といったカリウムやマグネシウムを含む食品の摂取量まで増やせているとは限りません。DASH食・地中海式食事の考え方は、単に「引き算」で塩分を減らすだけでなく、「足し算」で血圧を下げる食品群を意識的に増やすという点で、減塩中心の指導だけでは見落としやすい視点を補ってくれます。無理に完全なDASH食を目指す必要はなく、まずは1日1皿を野菜中心のメニューに置き換えるなど、小さな一歩から始めることが継続のコツです。
減塩のコツは?外食・コンビニ食でも実践できる工夫
外食やコンビニ食が多い方でも、いくつかのポイントを意識するだけで塩分摂取量を大きく減らすことができます。もっとも効果が大きいのは「汁物を残す」ことで、ラーメンやうどんの汁を残すだけで約2〜3gの塩分カットになるといわれています。外食チェーンの定食やセットメニューは、1食で食塩相当量が6gを超えることも珍しくなく、これは1日の目標量をほぼ使い切ってしまう量です。
忙しい方向けの具体的な工夫としては、①コンビニ弁当・惣菜は「食塩相当量」の栄養成分表示を確認し、1食3〜4g程度に収まる商品を選ぶ、②漬物・佃煮・練り製品(かまぼこ・ちくわ等)は1品減らす、③しょうゆ・ソースは「かける」より「つける」に変える、④定食を選ぶ際は汁物なし・小鉢を野菜系に変更できるか店員に確認する、といった方法があります。外食が続く週は、家で食べる朝食・夕食を意識的に薄味にすることでバランスを取るのも実践的な方法です。完璧を目指すよりも、続けられる範囲で「今日はここを減らす」を積み重ねる方が、結果的に長続きします。
食事だけで血圧は下がる?降圧薬との付き合い方は?
軽度の高血圧であれば、減塩やDASH食などの食事改善と運動・減量といった生活習慣の見直しだけで、薬を使わずに血圧が目標値まで下がるケースもあります。一方で、血圧が高い状態が続いている場合や、糖尿病・腎臓病など他の病気を合併している場合は、生活習慣の改善と並行して降圧薬による治療が必要と医師が判断することも少なくありません。食事療法と薬物療法は「どちらか一方」ではなく、多くの場合は両輪で血圧をコントロールしていくものと考えてください。
注意したいのは、ACE阻害薬やARBといった一部の降圧薬は、カリウムを体内に留めやすくする作用があるため、これらの薬を服用中にカリウムを多く含む食品やサプリメントを大量に摂ると、高カリウム血症のリスクが高まる可能性がある点です。「食事を頑張って改善しているから」と自己判断で薬を減らしたり中止したりすることは避け、食事内容を変える際は、特に薬を服用中の方は次回の診察やオンライン診療の機会に食事の変化を伝え、必要に応じて薬の調整を相談することをおすすめします。
高齢の方や腎機能が低下している方が注意すべき点は?
高齢の方や腎機能が低下している方が食事で血圧を下げようとする際は、若い世代とは異なる注意点があります。カリウムは血圧を下げる働きがある一方、腎臓の機能が低下しているとカリウムを体外にうまく排出できず、高カリウム血症を招く恐れがあるため、腎機能低下がある方はカリウムの摂取量を医師の指示のもとで1日1,500〜2,000mg程度に制限される場合があります。野菜や果物を「体によいから」と自己判断で大量に摂ることは避け、健康診断や訪問診療の際に腎機能の数値(eGFR・クレアチニン等)を確認したうえで、食事内容を相談することが大切です。
また高齢の方では、極端な減塩によって食欲が落ち、低栄養や脱水につながるケースも見られます。減塩は「薄味に慣れる」ことを目指しつつ、だし・香辛料・酸味を活用して満足感を保つ工夫が重要です。在宅療養中や訪問診療を受けている方は、家族だけで食事内容を大きく変える前に、担当医や管理栄養士に相談しながら段階的に進めることをおすすめします。
さいたま市南区・南浦和で血圧管理を相談できる場所は?
さいたま市南区・南浦和エリアには、生活習慣病の管理や特定健診(メタボ健診)に対応する内科クリニックが複数あり、通いやすさや診療科目で選択肢を比較できる地域です。血圧の相談先を選ぶ際は、①内科として日常的に生活習慣病を診ているか、②家庭血圧の記録をもとに継続的にフォローしてくれるか、③必要に応じて訪問診療にも対応しているか、といった点を確認すると選びやすくなります。
当院・川田クリニックはJR南浦和駅西口から徒歩4分に位置する内科クリニックで、内科の診療経験が10年以上の院長が、外来での生活習慣病管理から在宅療養が必要になった際の訪問診療まで、切れ目なく対応できる体制を整えています。特定健診の結果や家庭血圧の記録を持参いただければ、食事面での見直しポイントも含めて相談が可能です。なお、さいたま市の特定健診の対象条件・自己負担額は年度により変更されることがあるため、最新情報はさいたま市公式サイトでご確認ください。ご来院の際は、公式サイトのWEB予約(https://kawataclinic.jp/)からのご予約が便利です。
家庭血圧測定と血圧手帳をどう食事改善に活かす?
食事改善の効果を実感するためには、家庭血圧を記録し続けることが欠かせません。測定は朝(起床後1時間以内・排尿後・朝食や服薬の前)と晩(就寝前)の1日2回、それぞれ1〜2分安静にしてから2回測定し、その平均値を血圧手帳やアプリに記録するのが基本的な方法です。1回だけの測定値で一喜一憂するのではなく、2〜4週間程度の記録をまとめて眺め、平均的な傾向が下がってきているかを確認することが重要です。
減塩を始めた週、外食が続いた週など、食事内容のメモを血圧記録と並べて残しておくと、「何を変えたら数値がどう動いたか」が見えやすくなり、無理のない範囲で改善を続けるモチベーションにもつながります。記録した血圧手帳は、次回の外来やオンライン診療の際に医師に見せることで、食事指導や薬の調整もより具体的に行いやすくなります。数値の変化に不安を感じたときや、家庭血圧が135/85mmHgを超える状態が続くときは、自己判断で様子を見続けず、早めに医療機関に相談することをおすすめします。
よくある質問
塩分を減らすと本当に血圧は下がりますか?
個人差はありますが、多くの研究で減塩によって血圧が下がることが確認されています。日本高血圧学会のガイドラインでは1日6g未満の減塩が目標とされ、達成できると収縮期血圧が数mmHg程度下がることが期待できます。ただし効果の出方には個人差があるため、家庭血圧を記録しながら経過を確認することが大切です。
カリウムを多く摂れば摂るほど血圧は下がりますか?
カリウムはナトリウムの排出を助け血圧を下げる働きがありますが、摂れば摂るほど良いわけではありません。特に腎機能が低下している方は、カリウムをうまく排出できず高カリウム血症のリスクが高まるため、医師の指示の範囲内で摂取することが重要です。持病がある方は自己判断で大量摂取しないでください。
外食が多くても血圧対策はできますか?
可能です。ラーメンやうどんの汁を残すだけで約2〜3gの減塩になりますし、コンビニ食は栄養成分表示の食塩相当量を確認して選ぶことができます。完全に外食をやめる必要はなく、1食単位で「汁を残す」「漬物を1品減らす」といった小さな工夫を積み重ねることが現実的です。
降圧薬を飲んでいますが、食事改善だけで薬をやめられますか?
食事改善によって血圧が安定してくることはありますが、自己判断で薬を減らしたり中止したりするのは避けてください。薬の種類によっては食事内容(特にカリウム摂取量)との兼ね合いも重要になるため、食事を見直す際は次回の診察で医師に相談し、必要であれば薬の調整を検討してもらうのが安全です。
高齢の親の食事を薄味にすればそれで安心ですか?
薄味にすること自体は良い方向ですが、極端な減塩は食欲低下や低栄養につながることがあります。だしや香辛料、酸味を活用して満足感を保ちながら段階的に薄味に慣れていくのがおすすめです。腎機能や持病がある場合は、家族だけで判断せず、かかりつけ医や訪問診療の担当医に相談しながら進めてください。
まとめ
高血圧を下げる食事の要点は、①1日6g未満の減塩を基本としつつ、②野菜・果物・低脂肪乳製品を中心としたDASH食のようにカリウムを含む食品を「足し算」で増やし、③外食・コンビニ食でも汁を残す・成分表示を確認するといった小さな工夫を積み重ねることです。薬を服用中の方は自己判断で中止せず、腎機能に不安がある方はカリウム摂取について医師に相談してください。まずは家庭血圧を記録しながら、次回の受診やWEB予約で食事内容を相談することから始めてみましょう。
参考文献
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断・治療を代替するものではありません。症状がある場合は医療機関を受診してください。
院長・内科医國﨑正造からのコメント